法話:紅葉(R4/12/18)
今日は、12月18日、観音様の日であります。
今年の12月は、例年より割と暖かいなぁと思っていたところ、急に寒くなったと感じるこの頃であります。
山々できれいな紅葉になってきたなぁと思う木々の種類には、もみじにイチョウ、ニシキギという種類の木が多いそうです。この時期に見る鮮やかな赤色。私だけではないと思うのですが、山々で鮮やかな赤と言えば、わたしは漆の木、かぶれの木を想像してしまいます。雨上がりの日に、しずくがつくだけでかぶれてしまうので、特に注意を払っているのですが、それでも、かぶれてしまうとなかなか治りません。だから、雨上がりの時には極力、山には入らないようにしていますが、梅雨の時期と梅ちぎりの時期が重なると、そうも言ってられなくなります。
紅葉シーズンは、人々の目を楽しましてくれ、人々を山の観光へといざないます。
きれいな紅葉の条件として3つあるそうです。
・適度な雨や水分があること。
紅葉の名所が、渓谷や川沿いに多いのは、この条件が揃っているからだそうです。この地域では、香嵐渓が特に有名であります。
・日中の天気がよいこと。
・昼と夜の寒暖の差があること。
一般的に、紅葉は最低気温が8℃以下になると始まるらしいです。 このあたりの気温がやっとその条 件にあてはまる寒さになってきました。そして朝の最低気温が5℃以下の日が続くと、もっとも美しい紅葉が見られると言われています。
紅葉の仕組みにはおもに2種類あります。色で言うと、黄色と赤色。
黄色くなるのと、赤くなるのとは仕組みが少し違うと。
黄色の代表例としてイチョウ、赤色の代表例としてモミジがあります。
イチョウの夏の葉っぱの中には2種類の色素、緑の色素と黄色の色素が混在しています。
寒くなると緑の色素が抜けていき、緑の色素は、寒さに弱いので、緑色がだんだん減ってくる。
そうなると、隠れていた黄色がだんだん目立ってくる。結局葉っぱは黄色く見えるようになってくるそうです。
モミジの葉っぱの中にも同じように2種類の色素、緑の色素と黄色の色素が混在しています。
寒くなってくると、緑色の色素が分解されて減り、葉っぱの中に残っていた糖分が変化してきます。このとき赤色の色素がつくられる。赤色の色素が次々に合成されることによって、葉は赤くなる。その為には、昼は暖かくて、夜は冷える。寒暖差が必要で、そして紫外線が当たるほど赤色の色素がたくさんできると。
赤色の色素が合成されても一部の緑色の色素が分解されずに残っていると、消え損なった緑色と赤色がひっついた色になって、黒ずんで見えてしまう。
緑色の色素がほぼ完全に分解されると、葉は赤色の色素による鮮やかな紅葉になるのであります。
このときの黄色の色素や赤色の色素はともに、紫外線の害を消す役割があります。
この紫外線は人間にも、しみやしわをつくる原因となっています。
黄色や赤色の葉っぱが、新芽を紫外線からまもり、新芽自身が赤みを帯びて、紫外線にも十分な対応、準備ができあがると葉っぱがみずから落ちて行く。
今年も、あと2週間足らずになりました。
きれいな花が咲く数多くの木々、食べるとおいしい果物や冬の野菜、秋の紅葉などは、植物の一部分を切り取って、年間を通して私たちが知る、ほんのわずかなことであります。毎年、同じ場所で同じような紅葉も、同じように見えても毎年違うのであります。
年々歳々花相似
歳々年々人不同
来る年も来る年も、花は変わらぬ姿で咲くが、
年ごとに、それを見ている人間は、移り変わる。
とは、言いますが、草や木も、毎年変わってゆくのがわかります。
コロナがまた増えてきたようです。皆さんも十分、体調の変化にはお気をつけください。
心月齋観音堂にて 2022/12/18