今週はお彼岸の日です!

 今日は、春のお彼岸と曹洞宗を開かれました道元禅師様のことを折り合わせながらお話をしたいと思います。今日は、三月十八日でありまして春の彼岸入りにあたります。
 お彼岸のお中日、三月二十一日は、ほぼ真西に太陽が沈みます。この日、西に日が沈む所に極楽浄土の東の門があると言うことから、この日、太陽を拝むと、遠い十万億土を隔てた浄土の入り口を拝むことになり、極楽浄土が最も近くなる日と考えられています。
昼夜等分で長い短いがない真ん中の世界、中道、この時に仏事を行なうと良いという考え方が生まれました。
 中道というのは、仏教の実践についての基本的な考えで、対立または矛盾しあう両極端の立場を離れ、両極端のどれにも偏らない中正な立場を貫くことであります。
 曹洞宗の本山であります永平寺で、私は約4年ちかく、修行僧としてつかえ、その短い時間内に、たくさんの部所に配属されました。その一つの部署、道元禅師さまの御遺骨があるところで、オンシュリシュリマカシュシュリソワカ・オンシュリシュリマカシュシュリソワカと御神体を磨くことがございました。今年は、道元禅師様が、亡くなられてから760年余りになります。
 永平寺の修行は毎日、毎日、決められたことの連続であります。たとえば、3と8が付く日は、普段掃除はしていますが、なかなか手が届かないところ、例えば、大きな棚のうしろを掃除したり、ろうそく立てなどの真鍮を磨いたりするなどの掃除をします。サンとハチで三・八清掃(サンパチセイソウ)と呼んでいます。また、頭の髪の毛をカミソリで剃る日は4・9という日に決まっています。ヨンとキュウで四・九日(シクニチ)と呼ばれています。まあ月の行事は毎日毎日めまぐるしいほどなのですが、かえってそれがいいのかもしれません。それをただ、ただ、ひたすら励むことになれてしまえばなぜか心はかえって落ち着くものであると思えてくるから不思議であります。道元禅師さまの安心(アンジン)、安心(あんしん)と書きますが、坐るということから始まっています。
 お釈迦様がお悟りを開かれたときに「父母・師僧・三宝に孝順せしむ。孝順は至道の法なり。孝を名付けて戒と為す」戒とは法則です。その国、その国の法律は他の国には通用しないけれども、仏法の戒という法則は、海を越え、民族を超えたところの法であると。
簡単に言いますと、日本国の法律は、他の国には通じないが、仏の法は、国境を超えて伝えることができるのだと。
「悉く仏性あり」という。みんなどなたも、立派な神様であり仏さまであるべき本性を備えている。どんな教えでも皆良いことをして悪いことをするなという教え以外にはないと。しかし教わるだけでは駄目で実際に良いことをして悪いことを止めなければならないのが道であり法である。教えは実行するためにあると。26代遡ったら親が何人いるのか。おとうさん、おかあさんで二人、そのお父さんお母さんを加えて六人、26代を越えたところで一億以上の先祖があればこそ、私たちが生まれてくることができるです。
道元禅師さまのお弟子の中で懐奘禅師という方がいらっしゃいます。懐奘さまは、道元禅師様に大変よくお仕えした方でございました。その方は、道元禅師さまが生きていられるときからずっと、また亡くなってからも、五十年間、自分の生涯が終わる時まで、毎日朝晩の礼拝を欠かさ無かったと伝えられています。
 現在でも永平寺では毎日、道元禅師様のご真像に向かって、朝晩お供えをし、香を焚き、お経を唱えて礼拝をしています。これは、二代目、懐奘さまの伝統が今でも生きているのです。道元禅師さまの教えを忠実に守っていく。更にそれを後世の私たちにお示し下さっています。
道元さまと懐奘さま対話文集、正法眼蔵随聞記で、道元さまはこのように言われています。「出家たるものは、恩を自分の父母に限って考えず、すべての衆生の恩を平等に父母の恩同様に深いと考え、自分が積んだ善根をすべての世界に振り向けるのであり、特別にこの世一代の、自分の父母に限定することをしないのである」と。

仏教では良いことをせよ、悪いことをするなと何度も繰り返して言う。善い行いをしておけば、善い行いがあらわれる。悪い行いをすれば、悪い形であらわれる。それは、目に見える形であらわれるかもしれないし、目で見えない形であらわれるかもしれない。良い報い、悪い報いというものは、順現報受といって、この世でした行いを今の世で受けることもあり、順次生受といって、次の世代の子供たちに現れることもある、順後次受といって第三生以降であらわれるかもしれないと、永平寺を開かれました、道元禅師さまは言っておられます。だからこそ、小さな良い行いをも大切にしていかなければならないと。
 今週は、お彼岸の日であります。ご先祖様が大切にしてきた思いを考え、はぐくんでゆく、伝えてゆく。これが私たちのつとめではないのかと思う次第であります。

 

上記の法話は、実際より話した法話より省略して掲載しています。

2019年03月18日