マザーテレサ

「私たちは、ただこの世の一員であるだけでなく、ただ何かをして通り過ぎるだけでなく、一人一人が素晴らしいことをするために生まれてきたと信じています。」

一九九七年マザーテレサが心臓発作のために亡くなりました。生きとし、八十七歳でした。

アグネス・ゴンジャというかわいらしい少女が修道女となったのは十八歳の時でした。彼女はやがて修道服を棄てインドの貧しい女性が着る安物の木綿のサリーをまとい、スラム街に飛び込みました。マザーテレサの誕生であります。

持ち物は、着替えを含めて二枚のサリー、体を洗うバケツ、身の回りのものを入れる小さな袋だけ。

マザーテレサは、「貧しい人々の中でも、最も貧しい人々のために尽くす」、をモットーとして、世界中を駆け回りました。身長百五十センチ足らずの体のどこに、こんなエネルギーが潜んでいるのでしょうか。

ものごとに対して、一所、懸命に取り組むことを仏教では如来という。
掃除を真心をもって行ったら掃除如来。ご飯を真心をもって炊いたらご飯炊き如来。教育を真心をもって行ったら教育如来。

どんな教えでも皆良いことをして悪いことをするなという教え以外にはないのです。しかし教わるだけでは駄目で、実際に良いことをして悪いことを止めなければならないのが、人の道であります。教えは実行するためにある。マザーテレサはまさに実行の人だった。

大事なのは大きな事ではない。ささやかなことだという。

「あなたがちょっとほほえむだけでいい。新聞を読んであげると喜ぶ目の不自由な人も、買い物をしてあげると喜ぶ、重い病気の両親もいるでしょう。小さな事で良いんだと」。

マザーテレサは繰り返して言う。

「大きなことではなく、今すぐにあなたの隣の人に、何かできることはありませんか」と。